第七章

昔近所で上棟が終わると駆けつけた。
そこでは骨組みの躯体の上から振る舞い餅や菓子が投げられた。
施主の方にとっても近所の子供にとってもそれはうれしい祝いの日であった。
上棟の日、私は昼頃になって両親と息子と共にお茶菓子、大工さんへのお祝いの品を手にして駆けつけた
主人はもちろん上棟へも「アルバイト」という形で参戦していた。
二階家の上棟となれば手もかかり何日くらいかかるのやらと、
のほほ〜んと考えながら現場に着くと、
「う、うそ・・・もう一階部分組みあがってんじゃない・・・。」
私たちの存在に気付いた主人がご機嫌でやってくる
「すごい早いだろう!きっとこの調子なら今日中に組みあがるぞ!」
「ひえ〜〜〜!!」
そんな早く上棟が進んでいるのにはわけがある。
2×4住宅というのは壁組み工法のため、
在来工法のように現場で一から柱を立てて組んでいくわけでなく、
工場で図面どおりに外壁・内壁・屋根の躯体を組み立てて輸送してくることが可能なのだ。
だから、厳密には即日で建ち上がった訳でなく、
工場で職人さんによって作られていたわけなので
トータルで計算すると通常の上棟との時間差はあまり無いといえる。
が、天候に作用される現場での作業が一気に済んでしまうというのは
この上ない利点である。
言うなれば家のプラモデル!
とはいえ、構造的に問題があるわけではないのでご安心を♪
職人さんの邪魔にならぬよう現場をのぞくと
「わら人形でも打つんですか?」
と、聞きたくなるような太い釘で5人ほどの職人さんが一生懸命仕事をしてくださってました。
その中に、少し顔に焦りのある男が一人・・・。
主人である。
家具の仕事と建築大工の現場は似て非なるもの。
旦那様、必死で職人さんの指示されるままに動いておりました。
えらいぞ、ダーリン!!
上棟は主人の言うとおりその日のうちに終わってしまい、
翌日には透湿シートで綺麗に巻かれ、屋根工事も終わり、
我が家の姿が現れ、引渡しとなりました。
「ここまでで、これからは自分で作るんだよね?」
トントントン・・・
「ん?うん・・・ここからは・・・・・・・・一人でやるんだ・・・。」
トントントン・・・
「大変だけどがんばってね♪(笑)」
トントントン・・・・
「うん・・・」
トントントン・・・
「・・・・・・・・・疲れたか?なんか顔色悪いよ?」
トントントン・・・
「あ・・・まあ・・。」
トントントン・・・・
「?」
トントントン・・・
「あのさ・・・・・・俺この家だけじゃなくこっちの家も作るんだよね?」
トントントン・・・
「うん♪(笑)」
私たちの家が引き渡しになった日、
両親の家の上棟が始まり、
同じようにみるみる我が家より大きな家がぬ〜〜〜っと姿を現していました。
トントントン・・・
軽快に鳴り響く金槌の音に混じって
主人の焦りの鼓動も
鳴り響いていたのは言うまでもない・・・。
がんばれダーリン!!!!
あなたの愛妻はひたすらあなたを応援してるわ!
・・・・・・そう、赤子を背負った私は
ただ、ニコニコ笑って応援し続けるはずだったのだ・・・・・。
ちかり

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